海乃坂vs小雪

3/4
前へ
/10ページ
次へ
時間は5時限目の終わりを指していた。 もうすぐ海乃坂の授業だ。授業そっちのけでやっていた課題は所々空欄があるものの、なんとか終わっていた。 「なんとか終わってるみたいだね」 ヘラヘラと笑いながら持ってきた教材を教卓の上に置いた。海乃坂はまだ授業が始まっていないというのに小雪達の教室に来てゆったりとしていた。 目の前で課題の見せ合いをしている生徒がいるにも関わらずヘラヘラしている。 ただ“普通”にヘラヘラしているわけではないのだが…。 「んじゃ、授業やろうかね」 そう海乃坂が言えばタイミング良くチャイムが校内に響いた。 面倒な授業が始まった、と顔をしかめる小雪とまだ課題が終わってないのだろうか、顔が青い優亮。 どっちにしろ、海乃坂のターゲットになるのかもしれない。 「それじゃ、答え合わせするよ」 海乃坂の眼鏡がキラリと光った。 《問1》 刺激による細胞の興奮は何と呼ばれる神経細胞によって身体の各部に伝えられているか。 「これは前回やった所だねぇ。はい、須藤」 須藤は緊張気味に答えた。 「そうだね、ニューロンだね。ニューロンってのは細胞体とその周囲から出る多数の短い樹状突起及び1本の長い策軸からなるものだね」 ヘラヘラとしながら言う海乃坂に優亮は頭を抱えた。どうやら、ついていけてないみたいだ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加