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玄戒は山治と別れて村人達の挨拶もそこそこに旅路を急いだ。
旅の道連れ雛と山を降り船着き場に向かった。
そこで二人を乗せた帆船は瀬戸内海を東に進路をとる。
雛は甲板の手すりに肘を付いて遠ざかる陸地を眺めてため息をついていた。
「そうだな此が今生の別れになるかもしれない?」
「いいぇ、玄戒様、私は必ず戻ってみせます。」
玄戒はいまにも折れそうな雛の背中を見て優しく肩に手を… 骨ばったか細い肩は、ひんやりとして、それでいて手に吸いつくように滑らかな感触だった。
玄戒はだんだん感情移入してきて思わず抱き締めてしまった。雛もその優しさにゆだねて玄戒の懐へ顔を埋めた。二人に優しく潮風が吹き髪が靡く。
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