-進路は東-

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帆船が瀬戸内海を抜ける頃、玄戒は船酔いして船員の寝床にいた。 そこで夢を見る。 玄戒は河原土手にいて風で靡く水面を見ていた。 数分の後には陽がぐんと傾いて、橋の分厚い橋桁の影にスッポリ隠れてしまう。風もずいぶん冷たく吹いてくる。 すると川は、豹変した。紅色を突然隠し、不気味に沈んで、巨大な黒の生き物の姿になった。 風にうねる背の高い葦も、怪物の触手のように、玄戒を襲う素振りを見せる。 それで少し怖くなった玄戒は森の中へと入り込んで行った。 ☆☆☆
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