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「ああ!奴が――奴が来る!!窓に!窓にー!」
「急にどうしたんですか、マリアさん。マリアさんの言動が唐突なのは、いつものことなんすけど」
「大変よ!大変なのよ!どうして忘れていたのかしら!ああ、なんということかしら!」
「あ、あの、落ち着いてください。一体何が来るって言うんスか」
「あれは、とても筆舌に尽くしがたい存在である、としか言いようがないわ!」
「いやいやいやいや、そんなことは、それしか表現方法が有り得ない存在なんてないッスから」
「いい、少年。もし私の身に何かあったとしたら……私の意志は、必ずや継いで頂戴!あなたならきっと、やりとげられる!期待しているわ……ッ!」
「ちょ、待って下さいって!そんな親指立てて死亡フラグめいた台詞言われても!つーか、何を継げって言うんすか!」
「この事件の真相を暴くこと、それだけが私の望みよ!もしくは、私の代わりに歩いて測量して日本地図でも作って頂戴!おじいちゃんに出来たなら少年に出来ないことはないわ!」
「なんでそんなことしないといけないんすか……。とにかく、一体何があるんすか。教えて下さいよ」
「そう……そうね。これだけは、伝えておかなくてはいけないわね。いい?私がここにこうして立っている、生きているということは――私がこうして正常に起動したということは、もう一つのシステムも起動したということなのよ」
「システム、っすか……?」
「ええ、そうよ。そのシステムの名は、その者の名は――『マリウス』。私の、弟よ」
果たして、マリアさんがここまで怯えるマリウスとは。
そして、マリウスの持つ役目とは――?
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