希望無き最後の晩餐(仮)

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   太平洋、房総沖に浮かぶ孤島「籠目島」。  ある日、その島を訪れる者達が居た。  到着した彼らを目にして、この島に立つ館の主であり、この『催し物』の主催者である老人は嗤った。    島に集められた6人は皆、同じ仕事を生業としていた。  それは、決して公にすることは出来ない職業。  しかし彼らは誰しもが、その仕事に誇りを持っていた。    老人は宣言する。 「さあ、殺し屋共。私を殺してみせよ。殺せた者には10億やろう。  ただし、このゲームにはルールがある。  一つ、他の者にはバレてはいけない。  方法、そして犯行予定時刻が分かったものは私か私の執事に密告しろ。  それが正しかった時、その犯人はゲームオーバーだ。  そしてもう一つ。  君達の中には、裏切り者の『探偵』が居る。  きっと君達の企みを見抜き、妨害してくれることだろう。  最後に、制限時間は今日から一週間。  せいぜい頑張ってくれ給え」     「……だってさァ。どうするよ?」  唯一招待客ではない赤いジャケットを着た女――泥棒、紅西蘇芳は隣の男に尋ねる。 「さあな」  その男――殺し屋、河姉利安は顔を顰めた。  その夜、島に怒号が響く。   「この中に探偵が居るかもしれないのに、同じ部屋になど居られるか!俺は部屋に戻るぞ!」    一週間の殺し屋達のゲームが、今始まる――
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