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本当の両親
いつものようにリビングのドアを開けると、私はいつもと違う雰囲気に気がついた。
お父さんとお母さんが暗い顔で私を見ている。
いや、深刻そうな困惑しているような顔をしていた。
「どうしたの?」
とりあえず私は聞いてみた。
「優、ちょっとこっちに来なさい」
いつもは優しいお父さんの顔が、少し引きつっていた。
私は部屋の雰囲気に少し戸惑いながら両親に近寄った。「優。今日な、優が昔いた施設から連絡があったんだ。」
私の昔いた施設。
私の脳裏に懐かしい光景が浮かんだ。
友達と遊んだ施設の近くの公園。
施設の先生と勉強した自習室。
「その連絡の事なんだが…」
お父さんのその言葉で現実へと引き戻された。
私のいた施設からの連絡。
何かあったのだろうか?
もしかして私の事?
そうとしか考えられない。
「その連絡ってなんだったの?」
口ごもるお父さんの変わりに私が聞いてみた。
お父さんは少し言うか迷った顔をしたがこちらに向き直り
「優の実のお父さん。その人が昨日亡くなったと園長先生から連絡があったんだ」
実のお父さん?
その言葉の意味がすぐには理解できなかった。
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