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突然右側に強い衝撃を受けた。
で、吹っ飛んだ。
僕は歩道に飛ばされたけれど、何が何だかさっぱり分からない。
周りの人がガヤガヤと騒いでる。悲鳴も聞こえる。
僕は高い声が嫌いなのに、嫌がらせのように高い声は止んでくれない。
というか、体が動かない。よく見たらぶつかられた右側から血がどくどくと出ていた。
…あれ?もしかして僕、
轢かれた?
いや、間違いない。轢かれた。
視界を変えるとビルに突っ込んでいるワゴン車があったから。
なのに痛みは何も感じない。これっぽっちも感じない。
痒くもない。
なのに何だか意識がぼんやりしてきている。
そうなると何でか本能的に分かってくる。
僕は死ぬんだ、と。
怖い。死にたくない。
僕はそんな気持ちより、毎週購読している週刊誌の続きや、
まだ読んでいない友人から来たメールの内容が気になっていた。それと…
「…優里…」
好きな人に思いを伝えられなかったことも。
「あいつに好きだって伝えれば良かったな…」
これを最後の言葉として僕の18年の生涯は、死因を『交通事故』として終わりを迎えてしまった。
…はずだったのに。
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