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「じゃあ順を追って説明するね。」
彼女、コロネが言うにはこういうことらしい。
僕はさっき交通事故で死んだ。
が、僕が死ぬ間際に考えていた『あいつに好きだって伝えれば良かったな』という事が神様に伝わったらしく、
暇すぎた神様の余興として僕は蘇生させられたらしい。
「だから違うって!『蘇生』じゃなくて『巻き戻し』!」
訂正。巻き戻されたらしい。
「でも、何で僕?」
「神様の余興として使われる巻き戻しには条件があったの。
一つは死んだ原因が事故である事。寿命で死んでしまった人を巻き戻す事は許されてないの。
もう一つは未成年である事。
成年になると私が見えなくなるの。成年になったら夢を見失いがちなのと同じ要領よ。
どう?条件に当てはまるでしょ?」
あとはまぁ、たまたま透真君を見つけただけなんだけど…とコロネは付け足した。やはり偶然だったらしい。
それにしても理由から条件まで、何を考えてもご都合主義としか考えられなかった。
確かに僕は未成年だ。といってもかなりギリギリ。18歳だ。高校三年生。
就職のアテはあった。なので後は平和な高校生活を満喫するだけのはずだった。…卒業式には玉砕覚悟で優里に告白をして。
しかし事故で全部パーになってしまった。
と思っていた。
が、巻き戻された訳だ。つまり僕が事故に遭うと言うことが分かっているんだ。なら行かなきゃ良いだけ。そうすれば…
「あ、言い忘れてたわ」
コロネがふとそう言った。まだ何かあるのか、と僕はコロネを見ると、彼女は申し訳なさそうに、
「巻き戻しはされたけど、この巻き戻しにはあるデメリットがあるの。それは、
ご両親に貴方の姿が見えなくなることよ…。」
それは丁度僕がドアノブに手をかけたときに言われた。
そして、ドアノブから手を引いた。
そのときの時間は9時33分。僕が事故に遭う5分程前の時間だった。
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