Story7.灰音りかの苦悩

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ほんと、あたしって運がない。 初恋の成瀬くんの時はタイミングが悪くて(いやタイミングが良くてもフラれていたことに違いはない)、今度は見る目がないなんて。 奴に話した、動物園でデート、なんて。 夢の夢の、また夢だ。 そんなことを思って、麻友の前、あたしは深いため息をついた。 「言えてない。言ったらどうなるか予想がつかないから言えないよ…」 「…ヤキモチ、妬いたりして」 「は?」 「りかが他の男とメールなんて電話なんて許せない!ってヤキモチ妬いたりして!」 また麻友は。 いつもそっちに持っていく。 「んなわけない。だって渡宮くんが好きなのは自分だって、アイツが一番よく分かってんだよ?」 麻友は未だに、奴があたしを好きな説を信じているようだった。
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