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「また今日も、字に迷いが出てますね」
「っ!」
あたしの心のオアシスだった(既に過去になりそう)部活の時間が、今や気を抜けない時間になりつつあった。
それはもちろん、この人。
佐々野くんのせい。
少し前までは空気の存在でしかなかったのに、ここ最近、やたらと心をついてくる。
「な、何も迷ってなんかいませんが!?」
「打ち込みの段階で迷ってます。…何かあったんですか?」
「…っ」
ジッ、と。
眼鏡越しに見据えられる。
………あれ?
何だろう。
少しだけ、何かが心の中をざわつかせた。
だけどパッと視線を逸らして、新しい紙を取る。
「いや、本当に。何も迷ってなどおりません!」
強く返事をして、あたしは会話を強制終了させた。
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