Story7.灰音りかの苦悩

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と、思ったのに。 「例の書展ですが、灰音さんはもう行きました?」 佐々野くんは会話を続行させた。 書展。 ここのところ、色々ありすぎて忘れていた。 「忘れてた…!」 これぞ心のオアシスだ。 心ゆくまで、心の髄まで、書を嗜む。 佐々野くんもまだ行っていないというので、今日は部活を切り上げて一緒に行くことになった。 麻友と行っても麻友は書に興味がないので、ロビーでずっと携帯をいじって待っている。 あの感動を誰かと分かち合いたいというのに。 だからこういう時は(時だけ)佐々野くんと行動を共にする。 男だけど男と見られない。 だからこそ、何も意識せずに楽しめる。
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