3923人が本棚に入れています
本棚に追加
と、思ったのに。
「例の書展ですが、灰音さんはもう行きました?」
佐々野くんは会話を続行させた。
書展。
ここのところ、色々ありすぎて忘れていた。
「忘れてた…!」
これぞ心のオアシスだ。
心ゆくまで、心の髄まで、書を嗜む。
佐々野くんもまだ行っていないというので、今日は部活を切り上げて一緒に行くことになった。
麻友と行っても麻友は書に興味がないので、ロビーでずっと携帯をいじって待っている。
あの感動を誰かと分かち合いたいというのに。
だからこういう時は(時だけ)佐々野くんと行動を共にする。
男だけど男と見られない。
だからこそ、何も意識せずに楽しめる。
最初のコメントを投稿しよう!