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「一つ、気になっているのですが」
そんなことに意識を飛ばしていると、隣に立つ佐々野くんに声を掛けられてハッとした。
「うん、なに?」
平然を装って、佐々野くんを見上げる。
隣に立つと、その背の高さがますます際立った。
ひょろっとしてるけど、手足だって長いし、鼻だって高いし。
それなりの恰好をすれば、すぐに人気が出るだろうに。
ぼんやりとそんなことを思う。
「灰音さんは麗涼高校の人と何か接点があるんですか?」
メガネ越しに、まるで見透かされるように訊ねられた。
「噂になってますよ。灰音さんが麗涼の生徒に迎えに来させている、と」
「!」
やっぱり。
アイツのあの馬鹿でかい車目立ちすぎるんだよ!
「かくいう自分も、実際見たんです。随分親しげですよね?あの大神長と何の接点ですか?」
まさかこんなことを。
この人から訊ねられるなんて露にも思っていなかった。
「いや、…えと。接点なんて全くないよ!」
これで終わりにしてもらえるはずもなく、あたしはおずおずと言葉を続ける。
「あたしがたまたま奴の上に降っちゃったっていうか」
「降った…?」
「実は、その~…」
指をぐにぐにしながら、佐々野くんに事情を説明した。
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