Story7.灰音りかの苦悩

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「一つ、気になっているのですが」 そんなことに意識を飛ばしていると、隣に立つ佐々野くんに声を掛けられてハッとした。 「うん、なに?」 平然を装って、佐々野くんを見上げる。 隣に立つと、その背の高さがますます際立った。 ひょろっとしてるけど、手足だって長いし、鼻だって高いし。 それなりの恰好をすれば、すぐに人気が出るだろうに。 ぼんやりとそんなことを思う。 「灰音さんは麗涼高校の人と何か接点があるんですか?」 メガネ越しに、まるで見透かされるように訊ねられた。 「噂になってますよ。灰音さんが麗涼の生徒に迎えに来させている、と」 「!」 やっぱり。 アイツのあの馬鹿でかい車目立ちすぎるんだよ! 「かくいう自分も、実際見たんです。随分親しげですよね?あの大神長と何の接点ですか?」 まさかこんなことを。 この人から訊ねられるなんて露にも思っていなかった。 「いや、…えと。接点なんて全くないよ!」 これで終わりにしてもらえるはずもなく、あたしはおずおずと言葉を続ける。 「あたしがたまたま奴の上に降っちゃったっていうか」 「降った…?」 「実は、その~…」 指をぐにぐにしながら、佐々野くんに事情を説明した。
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