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『話を聞く限り、別室とはいえ、鍵のない部屋で生活しているんですよね?…無防備極まりないです』
楽しみだった書展が、全く楽しめなかった。
佐々野くんの言葉を思い出し、ズーンと重い気持ちで屋敷に帰った。
初日と、あの一件の夜こそ警戒したが、今やすっかり警戒心も解けていた。
……それって、年ごろの乙女としてどぉよ!?
頭を抱えて苦悩する。
「書展は楽しめた?」
「ぎゃっ!!!」
「――――、」
そんなことを考えている間に、いつの間にか奴の部屋へとたどり着いていた。
奴の声にびっくりして、一瞬で3メートルは距離を取ってしまった。
離れた距離を見て、奴の眉が不機嫌に寄せられる。
「…怪しいな」
「え?」
「書展見に行ったって、嘘だろ」
奴が高圧的に、あたしを見下ろした。
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