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「っ!!」
その瞬間、バッと腕で体を覆った。
こちらを見据える奴の瞳に、服の下を覗かれているような、心許ない感覚が走った。
バクバクと心臓が高鳴る。
「…気付いてなかったの?」
「―――!?」
凝視していたはずなのに、奴の手があたしの頬を捉えるまでその手の動きに気付けなかった。
「な、なにを…!?」
頬に触れられ、あたしはずりずりと後ずさりする。
だけど奴の手は離れることなく、あたしを追い詰める。
「…俺が頭ん中で、お前のことめちゃくちゃに抱いてること」
……え、え…、え――――っっ!?!??!
奴の言葉が投下された瞬間、背後に隕石が落下した。
ピギャーン!!!
ななななななにを言ってるのこいつ!!!
「!?」
その瞬間、奴の手があたしの頭に回った。
目の前に、少しまぶたを落とした顔。
その瞳の先が、あたしの唇を捉えている。
長いまつげをこちらに見せて、その端正な顔立ちがゆっくりとあたしに近づいた。
…待て、待て!待て~~~!!!
だけど声にならない。
パクパクとパニック。
頭の中はパニックなのに、こいつの綺麗な唇から目が離せないぃぃぃぃ!!!
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