プロローグ

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通勤客の多い駅構内は、時間帯を一つ間違えば、地獄絵図となる。 いつもより1時間早く帰路につけたあたしは、人込みもまばらとあって、携帯片手に余裕で階段を登っていた。 鼻歌交じりに、送信ボタンを押したところで、ハッとした。 目の前に突き出されていた大きなお尻。 認識した瞬間には、ボディブローを喰らって宙に浮いていた。 「よっこらしょっと」 ボディブローの犯人は、階段の際に立っていたおばさん。 何かを拾い上げるために腰を曲げたらしい。 「あれ?」とおばさんが気付いた時には既に遅く。 ―――落ちる。 と、思った時には落ちていた。 「いやぁぁぁぁ……っ」 「つー、上!」 「うわっ!!」 ―――ボキッ…!!
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