少女の章

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少女の顔を見たメイド長は、ピクリと眉を動かし、そして 「クロス…あなたはアリスです。」 と短く言いました。 他の人とは違う言い方に疑問に思いながら、箱に紙を戻したのでした。 全員が紙を戻したのを確認すると、メイド長は箱を振り、中身をかき混ぜました。 「続いて、順番を決めます。」 先程からの『順番』を不思議に思っていた少女…アリスは、遂にこの時が来たと、唾を飲み込んだのでした。 メイド長は手を突っ込み、一枚の紙を取り出し大声で、クロス!、と声を張り上げたのです。 アリスはびくりと跳ね上がり、メイド長を見詰めました。 メイド長は、ほのかに怖い表情でアリスを見下し、手に持つ紙をくしゃりと握りつぶし、近くにいるメイドに渡しました。 その紙には、十字架ではない違う模様が書かれていた事は、メイド長以外知ることはありませんでした。
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