0人が本棚に入れています
本棚に追加
とある廃墟、人影が数個ちらほら動いていた。
中はもやりと煙たい。
よく見れば、あちこちにタバコの吸い殻と、空き缶が転がっている。どうやらタバコの煙のようだ。
「ねぇー!ちょっと来てぇー!」
声を上げたのはセーラー服に身を包む少女だった。
微かにタバコの香りがした。顔もほんのり赤い。
どうやらこの少女たちが酒を飲み、タバコを吹かしたようだった。
「んだよー?」
だらしなく学ランを着る派手な少年2人と、着崩したセーラー服を着る金髪の少女1人が奥から現れた。
3人の姿を確認した少女はこれを見て、と、短いスカートを翻し、本を何処からか取り出した。
「難しそうな本だな。」
「でもさぁ、なんか読めないねぇー」
「その本に興味がお有りですか?」
不意に、声が聞こえた。
4人は声のした方に勢いよく振り向いた。
そこには、ぼんやりと光を放つランタンを手にしたシスターが立っていた。
「その本に興味が有るのならば、わたくしが読んで差し上げましょう。」
シスターは、少女達の返答を待たず、動きを見せた。
シスターが少女の持つ本に向かって手をかざした途端、パラパラと本が勝手に開きだした。
「今は昔……」
最初のコメントを投稿しよう!