球団

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そんな中、ふくたろうは出張旅費の処理に追われていました。 京洋水産は本州のほぼ西の端にあります。 そこから渉外担当者が東京まで毎週のように通います。 費やされる時間、そしてお金は、相当なものでした。 そしてこの日も、渉外担当者が疲れた顔をして、東京から戻ってきました。 「どうも京神の動きがおかしい。金鵄との“伝統の一戦”を守るために反対派に回るのではないかとの見方が出ている」 「京神の出方次第では賛成派と反対派が真っ二つになって、球団数拡大どころか連盟が吹っ飛びかねない」 「そもそも拡大論者の剛力前総裁は金鵄のオーナーだったのに、その金鵄の親会社である時経新聞と剛力氏が対立していることが事態をややこしくしている」 「武蔵鉄道は30年後に加盟した暁には埼玉県の所沢に球場を作り、50年後には屋根をかけるらしい」 彼らからもたらされた情報は、一部を除き、不穏なものばかりでした。
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