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「……以上が、当連盟からの条件となります。良い返事をお待ちしております」
この日も、新連盟からの使者が京洋水産の『新球団準備室』を後にしました。
渉外担当者の一人は、使者が完全に立ち去ったのを見届けてから、こう呟きました。
「しっかし現金なものだなぁ。分裂前はウチがわざわざ東京に出向いてもけんもほろろだった癖に、今はわざわざ向こうから揉み手して出向いてくるんだからよう!」
ふくたろうは、事務処理に追われながら、この呟きを、至極もっともだ、と思いながら聞いていました。
そして、ふくたろう自身は、こう呟きました。
「泥舟で漁に出るわけにはいかんからなぁ」
そんな思いからでしょうか。
京洋水産では、どちらの連盟に加盟するか決めあぐねていました。
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