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年が明け、3月になりました。
この国の職業野球――いえ、もう『プロ野球』と言った方が良いかも知れません――にとって、記念すべきシーズンが開幕しました。
新球団・京洋パファーはその開幕の日を、地元に新しく建設された市営球場で迎えました。
相手は同じ新球団・東鉄アトムズ。
国営鉄道東部鉄道局が中心となって創設した球団です。
噂によれば、新規参入を目論んでいた私鉄大手・小田新電鉄の参入断念を受けて急遽参入を決定したといいます。
それだけに、戦力の不足は否めず、もともと実業団野球の名門で、かつ、プロ他球団からも戦力を確保した京洋にとっては、正直、負けるわけには行かない相手です。
「さあ我等がパファーの船出だ! 君たちも、しっかり応援頼むぞ!」
スタンドでは、中江オーナーが、ふくたろうたち球団職員に檄を飛ばしました。
ふくたろうは、緊張の面持ちで、グラウンドを見つめていました。
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