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アーメン。と彼が言った後も遠慮なく暗黒は彼を飲み込んだ。死を覚悟し、ふと、後ろの純白の世界を振り向いたらそこには誰かが立っていた。だが、表情こそ見えなかったが、寂しいそうな表情をしていたのだろう。
何かに乗って伝わって来た。そしてその誰かが口を開いた瞬間、博士の意識は途切れた。
「ませ…おい!…覚ませ!……お!目ェ覚めたか!オイ!
この野郎!テメェ今更何の用だゴラァ!」
ゴチンッ!
一瞬目を開いたものの、顔面を思いっきり殴られた博士は再び地面にうつ伏せに倒れた。
「ん…何だ頭が痛い。あ?手が、あれ!?手が!」
手は縄で強く縛られていた。
暫らく気を失っていたのであろう。確か目の前にいる言葉遣いの悪い青年に、殴られたか?しかし今はそれどころじゃない。何故手を縛られているのか、博士には分からなかった。
「ここは何処ですか?何でこんな事するんですか?」
と目の前に仁王立ちする彼に博士は尋ねた。
「ハァァ!!?」
拍子抜けした様な顔で博士の顔をジロジロ眺める。
「おめぇマジで言ってんの?」
「当然です。」
唖然とする彼に博士はムッとした表情で答える。
呆気に取られた顔で博士の手を引っ張り歩き出した。
「ちょっと!何ですか!何処に行くんですか!」
博士が大きな声で尋ねると
「決まってんだろ、こーばんだよ。コーバン。テメェを天空パトロールに引き渡すんだよ!」
彼は博士の方を見向きもせず、荒々しい口調で応える。
「何でですか!私は何もしてないじゃないですか!どうし」
博士は「て」を口にする前に彼に殴られた。
「何すんで」
「オメェいい加減にしろよ!!!」
またも博士の言葉は遮られた。
血走った目で博士を彼は見下ろした。そして
「テメェが…テメェよぉ…テメェに…テメェに俺のお袋は殺されたんだろうが?」
「なっ………俺はそんな事」
「うるせェ!そんなこんなじゃねぇ!ポリに行く前にテメェのした事を見してやる。」そう言って青年は博士を引っ張って歩き出した。
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