錬成

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魔法などの「力」はキリストが生まれたと同時に世にで始めたという。それはしっかりと聖書に記してある。 しかし、その「力」自体不明であり、千年経ってもなお、起源や、他の使い道などは分からないことが多い。 例えばまだ金と人は錬成されていない。研究者達は我こそはと金を生みだす研究などをしている。有名な国なんかは人を生み出そうとすらしている。 そして、魔法を使える者の事を人々はメシアと呼んだ。 「よし、あと少しだ…ダスターくん二番の液体を持って来てくれんかね。」 「了解です。博士。」 ここは寂れた研究所の一室。これから起こる事にまだ彼らは気づいてなかった…。 「出来たぞ!ダスターくん!とうとう金の錬成が出来るぞ!あと少しだ…!これに火をつけるんだ。さすれば金が…とうとう…!」 「やりましたね!博士!後は手順を手帳に書き記すだけです!」 そして助手が手帳に記し終ったと同時に博士が火鉢に火を放った。博士は真剣な表情で呪文を唱え出した。するとどうだ。快晴だった空が急に曇りだした。不思議な事に辺りに雨は降らないのに雷が落ち始めた。怯える助手を側に、博士は顔色一つ変えずに黙々と呪文を読み上げる。 その次の瞬間だった。稲妻が急に光り金の錬成台の上に落ちた。博士ですら予期せぬ事態だったのだろう。博士は手に握っていた魔道書と聖書を机の上に落としてしまった。あろう事か、そのせいで机の上にあった「二番目の液体」がこぼれた。 ひどい偶然だった。その液体の上に雷が落ちた。するとその液体は穏やかな緑色をしていたが、赤い、血生臭い匂いのする赤い液体になった。慌てる博士達を他所に、雷は容赦無く「その液体」の上に落ちた。その瞬間その赤い液体は突然光を放ち、彼らを飲み込んだ。明るさが元に戻った時、そこには彼らの姿はなかった。
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