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私は三人に近づいた。
誰も気づかない。
油断しすぎだよ、バカ。
私は内心で舌を出した。
これで私が私服警官だったら、どうするつもりだ。
わめいて逃げるんだろうか。
まあ、どうでもいいや。
私は、一人の細い腕をつかんだ。
彼が顔をあげる。
知り合い――大塚だ。
私服の彼を見たのは初めてだった。
シンプルな半ズボンに、有名なネズミのキャラクターかプリントされた、薄ピンクのTシャツを着ていた。
男のくせしてピンクなんて着るなよ。
こいつに限らず、そういう男を見ると腹が立つ。
男なら男らしくしろっつーの。
心の中で唾を吐くと、お前がな、と返ってきた。
二人組が私を睨んだ。
ジロジロと、威圧するように。
私は何も言わない。
声を出したら、女だってバレるから。
それはちょっと困る。
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