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. 彼の名前は、大塚拓也。 小さくて、白くて、華奢で、可愛い子だ。 名前は男の子っぽいけど。 「真雪ちゃんは、ホントに寝るのが好きなんだねー」 「違う。 空を見るのが好きなの」 「じゃあ、座って見ればいいんじゃない?」 「首が疲れる」 「ヘリクツだよ」 また大塚が笑った。 パッ、と花が咲いたようだ。 ホントに、可愛い。 そういうと落ち込むから言わないけど。 大塚が私の隣に座る。 微かにいい匂いがした。 洗剤、だろうか。 さすがに香水……ではないと願いたい。 でも、好きな香りだからいいかな。 大塚にぴったりだし。 清々しいけど、ほんのり甘い、柑橘類の香り。 「ねえ、真雪ちゃん。 夏休みにどこか行こうよ」 大塚にそう言われて、明日から夏休みなのか、と思い出す。 そういえば、ホームルームで担任が何か言ってたっけ。 遊びすぎるな、程よく運動しろ、非行に走るな云々。 せっかくの長期休みくらい、ゆっくり寝かせてくれればいいのに。 まあ、何を言われても私は寝るけど。
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