30人が本棚に入れています
本棚に追加
.
「…彼氏持ちかよ」
一人が舌打ちをして吐き捨てた。
ついでに唾も吐き捨てた。
大塚はビクッと飛び跳ねて、後ずさった。
何かをぶつぶつ言いながら、二人組は立ち去った。
一気に力が抜けた。
なんとか騙せたようだ。
大塚が女と間違われてなかったら、失敗してただろう。
よかった、と安堵する。
姉に、一度だけ少女マンガを借りたことがある。
というか、押しつけられたことが。
これでも読んで女を磨け、と言われた。
全部で二十巻くらいあったけど、二巻目で飽きた。
どこが面白いか全然わかんなかったし、恋愛にキョーミなんてわかなかった。
まあ、それはどうでもいいとして。
そのマンガに、こんな場面があった。
変なおじさんに絡まれてる主人公の女の子を、男の子が助けるのだ。
いきなり登場した男の子に、誰だお前、っておじさんが聞いて、男の子が、この子の彼氏です、なんて言ってた。
そんなんで助けられるかっての、なんて思ってページをめくったら、おじさんは逃げてた。
最初のコメントを投稿しよう!