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. 「…彼氏持ちかよ」 一人が舌打ちをして吐き捨てた。 ついでに唾も吐き捨てた。 大塚はビクッと飛び跳ねて、後ずさった。 何かをぶつぶつ言いながら、二人組は立ち去った。 一気に力が抜けた。 なんとか騙せたようだ。 大塚が女と間違われてなかったら、失敗してただろう。 よかった、と安堵する。 姉に、一度だけ少女マンガを借りたことがある。 というか、押しつけられたことが。 これでも読んで女を磨け、と言われた。 全部で二十巻くらいあったけど、二巻目で飽きた。 どこが面白いか全然わかんなかったし、恋愛にキョーミなんてわかなかった。 まあ、それはどうでもいいとして。 そのマンガに、こんな場面があった。 変なおじさんに絡まれてる主人公の女の子を、男の子が助けるのだ。 いきなり登場した男の子に、誰だお前、っておじさんが聞いて、男の子が、この子の彼氏です、なんて言ってた。 そんなんで助けられるかっての、なんて思ってページをめくったら、おじさんは逃げてた。
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