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明日から、大塚が来る。
昨日のホームルームで、私たちの担任はそう言った。
大塚というのは、入学してすぐに不登校になってしまった男子生徒だ。
たしか、入学式の途中に倒れて、早退して、それから学校に来てないんだ。
二ヶ月も。
正直、顔はよく覚えていない。
担任に名前を出されて、そういえばそんなヤツいたかも、と思い出した。
そして、今日。
大塚は、転校生のように、担任に紹介されていた。
黒板に、白いチョークで大きく名前が書かれてる。
「…大塚拓也です」
彼は、ポツリと呟いて、すぐに担任の背中の後ろに隠れてしまった。
六月の下旬だった。
前日の夜に降っていた雨は朝には止んでいて、すっきりと晴れていた。
私は、大塚の紹介を聞き流して、窓の外をずっと見てた。
遠くの空が、うっすらと白い。
雲かな。
「じゃ、そういうわけだから。
大塚、お前、窓際のあそこな」
「はい…」
私の席の左隣が空いている。
そうか。
大塚は、ここに座るのか。
先月の席替えで、彼の席は窓際の一番後ろになったのだ。
空が見えづらくなるな。
ちょっと嫌だった。
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