30人が本棚に入れています
本棚に追加
.
大塚は、席についた。
無言で。
何か一言くらいあるかな、と思っていたから、拍子抜けだ。
同時に腹も立ってきた。
挨拶もできないのかよ、最近の高校生は。
「よろしく」
私はそんなムカつく奴になる気はなかったから、とりあえず声はかけた。
大塚はビクリと肩を跳ねさせた。
そんなにびっくりしなくてもいいのに。
彼は、女の子みたいだった。
黒い、柔らかそうな髪。
真っ白い肌。
大きくてくりくりした瞳。
背も160前後くらいしかなさそうだし、全体的に線が細い。
制服がだぼだぼなのも目につく。
正反対だな、と思った。
コイツは可愛くて女の子っぽい。
私は…。
大塚の耳には、私の声なんて入ってない様子だった。
私の足元を見て、かたまっている。
やっと気づいたか。
いつものことだから、私は特に気にしなかった。
最初のコメントを投稿しよう!