ファイル№Ⅰ

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   ◆     「――――ふぁ・・・」 これで何度目だろうか。いちいち数なんて数えていないが、短い間隔で欠伸をしていることは確かだ。 (・・・やっぱり、昨日の徹夜はきつかったな) 「・・・冬美っ!!聞いてるの!?」 「へ!?あ、ごめん。なんだっけ・・・」 「だーかーら、彼氏にプロポーズされたって話!!」 「ああ、プロポーズね・・・」 「ねえ、本当に大丈夫?最近ずっとこんな調子じゃない。どうかしたの?」 「ん、なんていうか、上司からの仕事を断れなくてね。そのせいでずっと残業と徹夜続き」 「はあ!?残業って、アンタ何日続いてるわけ!?」 「えーと・・・、三日ぐらいかな」 まあ、三日という数は自分が覚えている限りの日数なので、実際はかなり残業をしているはずだ。 「冬美、あんたそんなに毎日が仕事仕事で楽しいの?まだ二十代前半でしょ。もう少し人生楽しまないと」 「でも、今の生活は楽しいよ?そりゃあ、徹夜続きで疲れるけど、たまに服部さんが一緒に残ってくれるし・・・」 「へえ~。つまり、服部さんのことが好きなんだ」 友人の問いに、私は黙って頷いた。 「相手は、冬美のことどう思ってるの?脈アリ?」 「ない・・・と思う・・・」 そうだ。自分には恋愛感情があっても、相手にはそんな感情は微塵もない。第一、そんな感情があったら今頃もっと深い仲になっているはずだ。 「絶賛片思い中ってわけね。――――あっ、そうそう!今朝、面白いチラシが届いてたんだけど」 「面白いチラシ?」 「そ。今のアンタにぴったりだと思うけど」 友人がカバンから取り出したそれは、少なからず、私の人生に影響をおよぼすものだった。    ◆    
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