12人が本棚に入れています
本棚に追加
神社の入り口に着くとパトカーが止まっていた。そのパトカーは丸いヘッドライトに小さなパトランプがついた昭和40年代くらいのモデルだ。そして、先に署を出ていた陣介もいた。
「遅いじゃねぇか、阿狼。あれ、焔先輩も行くんすか?」
「そうよ。署長に言われたのついて行ってやれって。もうあんた達のショートコントに付き合うのはうんざりするわ。」
「ははは、すみません。」
こうして阿狼と陣介と焔がパトカーに乗る。焔は運転席、阿狼と陣介は後部席に乗った。
三人はしばらくたわいのない会話をしながら高速道路を進む。ちなみにこのパトカーは普通の人間には姿が見えず、さらにあらゆる物質をすり抜けることもできる。まさに幽霊のようなパトカーである。
「なぁ、阿狼。お前は好きな女性のタイプとかあるか?」
陣介の唐突な質問に阿狼は反応に困ったが答える。
「そうだね。やっぱり優しい人かな。僕の周りには気が強い女の子が多いから。」
「へっ、またまたぁ。どうせお前も俺と同じで巨乳が好みなんじゃねぇの?」
しかし、阿狼はさらりと返す。
「うーん、僕はどっちかと言うと貧乳派なんだけどなあ。」
「意外な趣味だなおい。お前は昔っからそこだけ俺と合わないんだよな~。」
「まあまあ、人それぞれだよ。」
「いーや、男はみんな巨乳好きだろうよ!お前も実は・・・」
「ちょっと!私がいること忘れてない?」
運転席から怒鳴り声がとんでくる。焔はわざわざ後ろを向いてまくし立てる。
「あんた達ねぇ、どんだけデリカシーがないのよ?人間でも妖怪でも女の子に対してマナーを守るのは当然でしょ!」
パイオツ談議に咲きそうになった花は焔によって毟り取られた。
「すみませんでした。」
「すんません。」
阿狼と陣介はそれぞれ謝罪したのであった。
最初のコメントを投稿しよう!