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「何すんだ!誰だ?」
そこから姿を現したのは二足で立つイタチであった。両腕には鎌を携えている。
「犯人はあなたですか、『鎌鼬(カマイタチ)』!」
阿狼が鎌鼬の前に立ちはだかる。
「お前、何者だ?」
阿狼は警察手帳を見せつける。
「閻浮署、刑事課の月影 阿狼です!器物損害及び窃盗の罪で逮捕します!」
「閻浮署?ああ、ついに俺も人間びいきの集団に目をつけられたか。帰れよ!ここは俺の居場所だ。侵すやつは許さねぇ!」
「許さない?むしろ許されざることをしたのはあんたよ。」
阿狼の後ろからゆっくりと現れたのは焔である。焔は無表情であるが、ゆらりと動く影は残酷な吸血鬼を思わせるシルエットになっていた。
「な、何だよポリ公。やるってんのか?出ていかないなら斬るぞ!」
鎌鼬は鎌を焔に向ける。一方の焔は阿狼たちより一歩前に出る。
「二人とも下がってて。私が相手をするわ。」
焔は腰から剣を抜く。それは刃が深紅に染まった剣であった。
「出ていけつってんだろオラァ!」
鎌鼬は鎌を振り上げ焔に斬りかかる。対する焔は剣で鎌を受け止めて、弾く。
「いい加減抵抗はやめなさい。」
「舐めんな!」
鎌鼬は鎌を何度も焔に斬りつける。しかし、焔は何食わぬ顔で鎌を受け止めている。
「うおらぁ!」
鎌鼬が鎌を振り上げたそのときだった。
焔はがら空きになった鎌鼬の脇腹に蹴りを入れる。
「ぐわっ!?」
「はぁっ!」
そして怯んだ鎌鼬の左腕を剣で斬り裂く。
「ぎゃああああ!」
鎌鼬はあまりの激痛に絶叫する。
「さあ、おとなしく縄につきなさい。もう戦っても無意味よ。」
そして下がっていた阿狼と陣介も鎌鼬に近づこうとする。
「ちくしょう・・・何で俺ばかりこんな目に遭うんだ・・・」
詰め寄ろうした阿狼と陣介が足を止める。
「俺の居場所・・・山に高速道路なんか作りやがって・・・」
「どういうことだい?さっきから。」
阿狼は鎌鼬に問い掛ける。
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