MISSION1

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「その人を離してくれませんか?」 女性を襲っていた黒い影はぴたりと動きを止める。そして、その声のする方向に振り向いた。 そこにはうす汚れた青いコートを着た少年が立っていた。 「お前・・・俺が見えるのか・・?」 影の問いに少年は答える。 「はい。僕は生れつき妖怪とか幽霊とか見えますよ。」 「それよりも、もう一度言います。その人を離してくれませんか?」 「・・・嫌だ!」 「なら仕方ないですね。」 少年は女性を押さえ付けている黒い影に歩み寄る。 「近づくなぁ!」 黒い影は地面に落ちていた石を手を触れずに浮かせ、少年に投げつける。しかし、当の少年は飛んできた石を難無くかわし、一気に距離を詰めるように走り出した。 「抵抗する気ですか!ならこちらも本気でいかせてもらいますっ!」 少年は黒い影に接近し、飛び蹴りをくらわす・・・はずだった。 「あれっ・・・うわぁっ!?」 少年の飛び蹴りは黒い影には当たらず、すり抜けてしまった。その少年はそのまま植え込みに突っ込んだ。 黒い影と女性はその一連の行動をポカンと見ているしかなかった。
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