MISSION2

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地下駐車場には車は一台も止まっておらず、さらに生暖かい空気が漂っていた。もちろんあちこちに蜘蛛の巣もある。 阿狼と焔はどんどん奥へ進む。 そのとき、阿狼の耳にコトリという音が入る。阿狼は振り向くが何かを察したように正面に向き直る。 「貴様ら・・・何をしにきた?」 阿狼と焔はその声に臨戦体制をとる。すると暗闇の奥から普通の蜘蛛のニ、三十倍はあろうかという巨大な蜘蛛が姿を現した。下半身は蜘蛛のようにたくさんの足が生えていたが、上半身は人間のような体だった。 「『閻浮署』の焔・クリムゾンよ。土蜘蛛、あんたを『連続誘拐殺人』の容疑で逮捕するわ!」 焔は臆することなく叫ぶ。そして、阿狼も身構える。 「閻浮署か。わしもついに嗅ぎ付けられてしもうたか。なら、貴様らを消すまでよ!」 土蜘蛛は阿狼と焔に向かって糸を吹き付ける。しかし、阿狼と焔はヒラリとかわす。 「これで公務執行妨害も成立したわね。覚悟なさい!」 焔は剣を抜いて土蜘蛛に斬りかかる。 「待ってください焔先輩!」 阿狼が焔を制止する。焔は一瞬驚くがすぐに理解した。何と土蜘蛛の背後に天井から糸で宙づりにされている少女の姿があったからだ。おそらくNプロダクションの事務所から連れ去られたのだろう。 焔はその顔に見覚えがあった。人質にとられている少女は雑誌やテレビで見たことがある。 「あの人間は・・・三浦 杏奈?」 焔がつぶやく。そして、阿狼は目を丸くした。
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