MISSION2

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(あの人が佐山さんの言ってた・・・よし、何としてでも助けだそう!) 焔は攻撃を中断し、土蜘蛛と睨み合う。すると阿狼が身構えながら土蜘蛛に問う。 「あなたはなぜ、山から下りてきたのです?人間を食うことが目的なのですか?だったら、自分の山の縄張りに入った人間を捕食すればいいじゃないですか!そうすれば、それは妖怪の権利として認められ、閻浮署も検挙はしませんよ。」 「なに、単に山のふもとの街の方が餌がたくさん手に入ると思うての。ただそれだけじゃ。しかし、芸能事務所とやらは面白いのぉ。人が一人消えても誰も気にせんわい。そればかりか、事務所の中の人間たちは皆、いがみ合っておる。これほど滑稽なことはないわ!」 阿狼は拳を握りしめる。今まさに殴り掛かろうとしていた。だが、土蜘蛛が先手を取る。 「問答はここまでじゃ!死ねぇい!」 土蜘蛛が足の爪で阿狼を襲う。 「ぐわっ!」 人狼の状態ではないため避けられず、一撃を食らってしまう。阿狼は地面に叩きつけられた。しかし、阿狼は立ち上がりながら言う。 「確かに人間てのは自分のことを最優先に考えている人がほとんどだよ。それこそ、目標へ向かうのに必死でね。でも、同じ道を、同じ目標に向かって歩む人に声をかけ、励まし、手を差し延べる人だっているんだ!お互い支え合って道を進む。人間の言葉でその人達のことを『仲間』って言うらしい。そうだろう、佐山さん!」 阿狼の言葉に呼応するかのように阿狼の背後の物陰から人影が動く。その正体はなんと菜緒であった。菜緒はずっと阿狼たちの後をつけてきたのである。
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