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「バーカ、何してんだよ阿狼。悪霊を逮捕するときはそいつに呪札を張り付けないとだめだろ?」
「まったく、何度教えたら覚えるのあんたは・・・。」
少年の珍プレーの後に現れた黒髪の少年と、金髪の女性。どうやら最初の少年の知り合いのようだ。
「痛てて、そうだったよね陣介。よしっ、これでも食らえ!」
少年は植え込みから黒い影に向かって一枚の札を投げる。そして、その札は黒い影に当たる。
「ぐわっ!」
黒い影は一瞬光りに包まれる。そして、それに怯んだ隙に金髪の女性が押さえ付けられていた女性を黒い影から奪い返した。
「おお!ありがとう焔先輩!」
焔と呼ばれた女性は陣介と呼ばれた少年に言う。
「人質は助けたわ。後はあんたたちに任せたわよ。」
「へい!よーし、阿狼!呪札のおかげで悪霊に物理的な攻撃が当たるようになったぞ。今の内にけりつけるぞ!」
陣介は背中から翼を広げる。その様子を襲われていた女性が驚いた目で見ていたが。
陣介はそのまま宙に浮くと懐から扇子を取り出す。
「いくぞ、『旋風』!」
陣介が扇子を振ると風が起こり、黒い影を吹き飛ばす。
「ぐはっ!?」
黒い影は状況が理解できないまま数十メートル先に飛ばされた。
「さあ、おとなしくしてください。」
そして、阿狼と呼ばれた少年が倒れた黒い影を取り押さえる。
「この餓鬼が・・・!」
黒い影はなおも抵抗するが、なぜか動けない。それは、
阿狼の腕は獣の腕のように毛深くなっており、さらにがっしりとして太くなっていた。そして、月明かりが差し込む阿狼の顔は狼のようになっていた。
「僕は本当は人狼だよ。」
人狼の姿となった阿狼は黒い影に手錠をかける。その手錠には文字がびっしりと書かれていた。
「とりあえず、署まで来てもらおうか。話はそれからだ。」
陣介は黒い影をパトカーに押し込む。一方、阿狼は襲われていた女性に近づく。人狼の姿のままで。
「いやー、危ないところでしたね。お怪我はありませんか?」
阿狼は優しく話かけるが、
「お、狼男!?」
女性はがたがたと震えている。もはや失神寸前だ。
「馬鹿ね。そのまま人間に近づいてどうするのよ。」
焔はため息をつきながら女性の顔を見る。
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