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「そういえば金次郎さん。あなたは取り壊されたんじゃ・・・」
心配そうな花子に金次郎は笑って返す。
「大丈夫だよ。僕を助けてくれた人がいてね。」
「そうなの。で、今は何をしてるの?」
花子の質問に金次郎から笑顔が消える。
「うん。実はここに来たのと関係があってさ。」
そう言いながら金次郎は警察手帳を見せる。
「僕、閻浮署に入って警察官になったんだよ。花子さん、ここで中学生二年生の男の子が何者かに首を絞められて意識不明の重体になった事件って知ってるかい?」
花子はその言葉を聞いて口をつぐんでしまう。
「そんなこと・・・私に聞かないでよ!」
花子はトイレの窓ガラスを突き破るとそのまま逃げ出してしまった。
「うわっ!?ちょっと花子さん!」
「怪しいな。追うぞ!」
次に動き出したのは焔だった。焔も窓から飛び出す。
「僕も行きます!」
続いて阿狼も窓から出る。
最後に金次郎も窓から出ようとするが、
「あれ・・・窓から出られない。むしろ、体が重くてたどり着けない・・・」
トイレの窓は壁の上の方にあった。
金次郎は自分が石像であることが生まれて初めて悔しくなった。
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