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「さて、花子さん。できれば厳重注意で済ませたかったけど、こんな事態になったから責任取ってくれるかな。」
阿狼は冷ややかな眼で動けない花子に手錠をかけようとする。
「待つんだ、阿狼巡査!」
金次郎が肘を使って上半身だけで阿狼のもとへ近寄る。
「阿狼巡査、実は前まで君達がいたスーパーのトイレにこんな物が落ちていたんだ。」
金次郎が差し出したのはカラースプレーだった。
「実は花子さんが首を絞めた少年はスーパーのトイレにスプレーで落書きしようとしていたんだ。花子さんが少年の首を絞めたのはその落書きを止めるだった、そうだろう花子さん?」
金次郎の言葉に花子の目から一筋の涙が流れる。
「あいつは、よくあのトイレに落書きしていった。イライラすることあるといつもね。最初は私も我慢してたけど・・・日に日に我慢できなくなって、昨日あいつを止めようとした・・・」
「それで力が入り過ぎて結果的に意識不明になるまで首を絞めちゃったってことか。」
金次郎がウンウンと頷く。
「この学校、もうすぐ廃校になるでしょ?私はこの学校が好きだった。仲間がたくさんいて・・・でも、人間のせいで私の思い出はみんななくなるのよ。それで、嫌々暮らすことにしたスーパーのトイレも人間に荒らされる・・・最悪だわ。」
花子はなおも涙を流し俯く。
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