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焔と別れたあと、阿狼は『閻浮署』に向かって歩き出す。
しかし、阿狼の向かっている場所は神社である。そしてその神社の裏手にある雑木林の中に阿狼は入っていく。
そこには何と山寺のような木造建築物が立っていた。そして、看板には『閻浮署』の文字。
ここは神社の雑木林一帯を結界で囲んであるため閻浮署には警察手帳のない者は原則立ち入ることができないのである。
阿狼は閻浮署の門を開けて中に入る。早速そこで出迎えがあった。
「よお、遅かったじゃねぇか。」
「ごめんごめん。事情聴取が長引いちゃって。」
陣介が阿狼に駆け寄る。陣介は天狗と人間のハーフである。そのため、鼻は高くないが背中に翼がある。阿狼と同じ刑事課に所属し、階級は巡査。つまり阿狼と同期である。
「そっか。まあとにかく署長に報告しに行こうぜ。」
阿狼と陣介は署長のデスクに向かう。
「あら、お疲れ様阿狼君、陣介君。」
途中で二人に真っ白な肌に、銀髪の女性が話掛けてきた。
「はい、お疲れ様です小雪先輩。」
阿狼は女性に向かって敬礼する。この女性の名前は『小雪』。彼女は雪女である。焔の二つ上の先輩であり、階級は警部。検挙率はこの署で一位である優秀な警官だ。
「あっ、『雪見だいふく』あるけど食べる?」
雪見だいふくは小雪の大好物である。
「あ、ありがとうございます。」
阿狼はだいふくを一つ受け取る。
「阿狼、早く来いよ。署長が待ってるぞ。」
「あ、はーい。小雪先輩、ありがとうございました。」
「こちらこそ。」
小雪は笑顔で手を振った。
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