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その言葉をきっかけに、まるで深海から海面に浮上していくように意識が遠くなっていく。
それに比例して体の感覚がはっきりとしてくるにつれ、最初に変化に気付いたのは耳だった。
――カサカサカサ―――
微かに、なにかが耳に届く。
これは…なにかが擦れあう音、だろうか?
続いて捉えたのはあまり嗅いだことのない何かの匂いだった。 なんだかえぐみを含んだ爽やかな匂いというか、ぶっちゃけ青臭い。
体の前面にあたるゴツゴツしているがヒンヤリとした感触。
そこでようやく、自分が倒れていることに気付いた。
「――………っ…」
掠れた声を喉から漏らしながら、ゆっくりと持ち上がった目蓋から霞んだ視界が開けてくる。
「………みどり…」
まず最初に分かったのはそれだけ。 それから徐々に瞳のピントがあってくるにつれ、周囲の状況が見えてきた。
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