虚構から幻想へ

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当然ながら、初期生産は発売開始数分で完売。 入手できなかった一部のゲーマーによる暴動や強奪が連日に渡って報道されていたと言えば分かるだろうか。 今ではVR安全基準法という法律まででき、すでに仮想空間は特別な別世界ではなく、生活の一部として順応している。 「………はぁ……」 今日だけでもう何度目のため息だろうか。 俺、楠ノ瀬伶也は重度のゲーマーだ。 しかし、ゲーム歴自体は大したことはない。 それは、今FAVに挿入されているゲーム〝幻想世界―アストラルユニバース・オンライン―〟のみしてきたからだ。 自分のこの姿が嫌いになったのはいつからだったか。 もともと孤児だった伶也の周りには同年代の子供達がいたが昔は仲良くやっていた気もする。 それに周囲が気付き始めたのは小学校に上がる位の年だったと思う。 『お前、女みたいだな』 気にしたことなんか無かった。 しかし、子供という日に日に成長していく存在の中で、伶也は明らかに他の男の子たちとは違う変化をしていった。
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