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段々と周りの子達は幼いながらも顔立ちがしっかりとし、体格が大きくなった等の男らしさを発揮していく中、伶也は全く逆のベクトルへと進んでいってしまう。
肌は決め細かなまま、睫毛は長く、色白で華奢な姿はどこからどう見ても女の子だった。
そこからは早かった。 一番多感な時期に、異物があればどうなるのか。
あるいは、壊れるまでオモチャでじゃれる猫のように、無邪気な害意が牙を剥いた。
『オカマ』だの『男女』だの悪口からはじまり、雪崩式に暴力へと行き着く。 昨日まで遊んでいた相手が、今日自分の大事にしていたものを壊す側に回り、それを守ろうとした伶也を嘲笑いながら数の力で押し潰す。
すべてが嫌いだった。
笑いながら踏みにじることができるヤツらが。
そんなものに屈する己の非力が。
助けてくれることが出来ない大人が。
そして何より、この姿が大嫌いだった。
こんな姿でさえなければ自分はこんな目に逢わずに済んだ筈なのに。
そうすればまだ、彼等と友達でいれた筈なのに。
そんな思いを抱えながら、小学校も高等部へと変わりその頃にはあからさまな苛めはなくなっていたが、伶也は立派な人嫌い
になっていた。
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