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今日の稽古は本当に集中出来ていなかった。ラースは自室のベッドに横になってため息をついた。
「お前があんなにぐだぐだだったの久し振りに見たわ」
かけられた声にラースが目を開けると、にやにやとからかいの色を含んだ笑みを浮かべた同室のエドワードが見下ろしていた。
「・・・集中出来なかっただけだ」
「なになに?何で集中出来なかったん?俺に全部話してごらん」
エドワードのカラメル色の猫目が細められる。
こいつ、完全に楽しんでやがる。
ラースは心なしかさっきよりも笑みの深くなっているエドワードの頭をはたいた。
「あでっ」
「なんとなく、だ。」
「へえぇ」
まだにやにやしているエドワードを無視してラースは立ち上がった。
「ちょ、待てどこ行くの」
「食堂」
素っ気なく告げるラースにエドワードは壁時計を確認した。
六時半。
夕飯に行くのには妥当な時間だ。
「行かないのか?」
「行く、行きます。行かせて下さい」
既に部屋の外に出ているラースをエドワードは慌てて追いかけた。
とどのつまり、構ってほしいのである。
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