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しかし僕たちのそんなきまずい雰囲気なんか友人には関係なかったようだ。
『ね、ね。もしかしてあなたも私が見えるの? 見える? お友達になれる?』
今度は彼に興味をもったらしく彼の周りを忙しく飛び回り始めた。無邪気な友人は先ほどと同じようにとても嬉しそうにひらひらと飛んでいる。その様子を彼は眼で追っているようだ。
「あ~見えとる見えとる。かわいらしいダンスをおどっとるのお」
『わーい! お友達! お友達!』
「これまたかわいらしい精霊やなあ」
彼ははしゃぐ友人の頭を撫でてやりながらにこにこと笑っている。
(僕も話しかけなきゃ)
どうしてこうなったのかは未だにさっぱりだが精霊の見える友達を作るまたとないチャンスだ。それにあそこに座っていたということはこの人もレオン寮ということなのだろうし。
(よし。行くんだ僕。やればできる)
深く深呼吸して友人をなでている彼を見据える。
「あ、あの」
「ん? なんや?」
「友達になってください! 僕は光です。」
言えた。言えた、けど失敗した感がある。普通名前を名乗るのが先だよね。
『おお~光が友達になってって言えた。成長したね光』
下げたままの僕の頭をよしよしとなでてくれる。空気をよんでください。お願いしますから。
まあ、しかしその様子に相手も気が抜けたみたいでケタケタと笑いながら席に座った。
(はっ、僕座ったまんまだった)
今更になって無礼なことをしていたことに気づいたがどうしようもない。
彼は慌てる僕にさっと手を差し出してきた。
「わいはイディオール・ホーク。よろしゅうな」
「僕は光。それとさっきから君の周りを飛び交ってるのが僕の友人のポー」
『ポーだよ。ポッポー!』
ぽっぽっぽぽーと歌いながら今度は僕たちの周りを飛び回り始め。そんなポーの様子に僕たちは顔を見合わせて笑った。
「ポーともどもよろしく。ホーク」
「気軽にイオでええよ。友達になるさかいな。ヒカリ」
「っうん! よろしくイオ」
きっかけは意味不明だったけどいい人と友達になれた。しかもポー、精霊が見える「精霊の眼」をもつ人だ。これから色々と教えて欲しいな。
(僕が世間知らずだということぐらいは自覚してるしね)
ちらりと後ろに目を向ける。イオを連れてきてくれた青髪の彼は1人で席に座ったまま本を読んでいた。
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