第一章 邂逅

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「これから、ラウス学園入学式を始めます」  壇上にいる金髪の女性徒の言葉で入学式が始まった。 『わあ、すごいよあの人。すっごくきらきらしてる!』  きらきら~と友人は興奮して僕をばしばしとたたいてくる。たしかにきらきらしてるが地味に痛いからやめてくれないかな。ともすれば壇上に飛んでいってしまいそうな友人を引き止めて何とかなだめる。 (隣、誰もいなくて本当に良かった)  入学式でいったい何をしているんだと変な目で見られることは必至だ。よかった。既に後ろの席の学生からは変な目で見られていたのだったが、それは知るところになかった。  そんなこんなしているうちに挨拶は終了し、いよいよ寮分けとなった。  ラウス学園には4つの寮が存在する。新入生たちは魔力の質や性格などによってそれらの寮に分けられ卒業するまでその寮で生活するらしい。魔道大会などの行事ではそれらの寮でクラス分けするという。 「僕、どの寮になるのかな」 『私としてはやっぱりヴェリアス寮かな? 稀代の天才の使ってた部屋がそのまま残されてるって聞くし。一回見てみたいなあ』  意外とミーハーな友人は隣で「ヴェリアス! ヴェリアス!」とコールをしてくる。僕に決める権利はないんだけどね。 「それでは今から3つの宝石が皆さんの前に浮かびます。その宝石を手にとってください」  その言葉と共に生徒全員の前に3つの淡く光る宝石が浮かび上がった。それぞれ赤、青、緑の色に光っている。指示されたとおりそれらを手にとってみる。 「消えた・・・?」  驚くことに宝石は3つとも手に取った瞬間消えてしまった。正確には手が触れる前に消えてしまったというのが正しいのだが。しかし、全て消えてしまったのは自分だけで、他の生徒たちは全てが消えることはなかったらしい。そこかしらから自分は何色の宝石が残っただのと言う声が聞こえる。 『あっちゃ~これってどういうことなんだろうねえ』 「どこの寮もダメってこと、じゃ、ないよね。それだったらどうしよう。うう」  せっかく入学したのにやっぱりお断りってわけじゃ。頭の中でどんどん最悪の未来が浮かんでくる。 「これで皆さんが入寮できる寮が決まりました。皆さんには残っている宝石の色に応じた寮への入寮の権利があります」  どれも残らなかった人はどうすればよいんでしょうか。泣きそうです。
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