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side<クレア>
少し色褪(あ)せた
茶色の天井…
(私…紅い目を見て…それで…)
……覚えていない
クレアが目を覚ますと
船に着た時と
同じ景色が目の前に
広がっていた
コンコン…
控え目なノックが
部屋に響く
ガチャッ…
入ってきたのはキバだった
手にはパンや果物が入った
カゴを持っている
(…あ…私がさっき手を叩いたから…)
泣いたのであろう
目は少し腫れていて
手の甲は赤くなっていた
「…お姉ちゃん、ごはん食べる?」
(私、キバに酷いことしたのに…なんで優しくしてくれるの?)
あどけない笑顔で
先ほどのことを
忘れたかのような素振りを
見せるキバに
罪悪感が生まれる
「………」
「お、お姉ちゃん?」
気が付いたら泣いていた
それを見たキバが
慌てて私の側に来る
「どこか痛いの?」
私は首を横に振って
キバをぎゅっと抱き締めた
「おね…ちゃ…?」
戸惑うキバをしばらく
抱き締めて
そして赤くなった手を
優しく撫でた
「!…大丈夫だよ、お姉ちゃん。ボクお姉ちゃんが海賊怖い理由わかったから」
(え…?)
「シンとアウルが協力してね?お姉ちゃんの頭の中の記憶みたの」
(私の…記憶を…)
「勝手に見てごめんね、でもボクたち、お姉ちゃんが怖がる理由をどうしてもしりたかったの」
「何で泣くのかもしりたかったの」
解らせようと
必死になるキバを
もう一度ぎゅっと抱き締めた
わかったよということを
キバに伝わるように
するとキバも
抱き締め返してくれた
(伝わったみたい…)
しばらくそのまま
抱き締め合って
そして
キバと食事をとった
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