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side<アウル>
「ぁ…ぁ…」
「おかあさま…死んじゃ…だめ…」
檻の中に入ると
クレアが倒れた男に
声をかけていた
「おかあさま…おかあさま」
「クレア…貴女、声が…」
話せるようになった
しかし今は喜ぶことができない
クレアの様子がおかしい
「おかあさま…ちが…血が…」
「クレア!」
シンが駆け寄って
クレアを抱き締める
「あぁああっ!嫌っ!離して!」
「クレア!俺はシンだ!クレア!」
「離してっ!殺さないで!」
クレアはもう
シンの声など
耳に入っていなかった
ただ恐怖に怯え
叫んでいる
「…………」
私はクレアの正面に立ち
能力を使ってクレアを眠らせた
ガクッと力なく
シンにもたれ掛かったクレア
私は無言で
クレアの腕と足の拘束を解く
「…すまない…すまない…クレア…」
シンの悲痛な囁きが
地下に響いたような気がした
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