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side<レオン>
あれから3日…
シンもクレアも
部屋から出てこない
キバが忙しそうに
食事を持って部屋を行き来
するだけの日が続いていた
夜
僕はクレアの部屋の前を
通ろうとした
すると中から
綺麗な声が聞こえた
僕は一度
狼の姿から人間の姿に変身して
クレアの部屋のドアを開けた
「…~~♪……~♪…」
部屋に入ったことに
気付いた様子はなく
窓の外を見ながら歌うクレアは
とても儚くて…
消えてしまいそうで…
見ていて胸が少し痛かった
『…クレア』
声をかけると
クレアは歌うのをやめて
こちらに顔を向けた
「どうしたの?レオン」
『ぁ…えっ…と』
驚いた
3日前のことがあったから
僕のことを見て
叫ぶんじゃないかって
思っていた
『か…身体は平気?』
「うん、平気」
『そっ…か』
(どうしよう…
何を話せばいいか
わからない)
暫くの沈黙…
それを破ったのは
クレアだった
「私…ね?」
「怖くて…怯えて…泣いて…そうやって逃げていたの、現実から」
『………』
僕は黙って
耳を傾ける
「目の前で家族や婚約者が死んで…でも、それを認めたくなくて現実から目を背けてた」
「だから…もう逃げ…」
僕はクレアが
悲しそうに微笑みながら
話す姿を見たくなくて
強く抱き締めた
「レ…オン?」
『無理して笑わないで…泣きたいときは泣いていいんだよ』
「う…ん……ヒック…グスッ…ふぇええん」
我慢してたんだよね
こんな小さな体で
耐えてたんだよね
よしよしと
背中を撫でていると
規則正しい寝息が
聞こえた
『寝ちゃった…か』
僕はクレアに毛布をかけて
唇に口付けを落として
眠りについた
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