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この階には何にもなさそうだと振り返ると、内階段をちょうど女の子が駆け上がっていくのが見えた。
小学生低学年ぐらいだろうか?
普段でこの学校の敷地内で見かけない子供だ。
「そっちは駄目だよ!」
僕は反射的に叫ぶが、当然、少女には届かない。女の子は凶器を持つ山本先生がいるかもしれない三階へと上がっていった。
「ちくしょう!」
僕は少女を止める為に階段の方へと走って戻る。
しかし、三階の廊下へと辿り着く頃には、既に少女は何処かへと姿を消してしまっていた。
少女を見つける為、なるべく音を立てないようにして廊下を歩く。
一、二階に山本先生がいなかったということは三階にいる可能性が極めて高いからだ。
内階段から外階段の扉の前まで、ゆっくりと廊下を調べる。
投げ出される傘や壊れた箒の柄。そして、充満する血の匂い。
ギイギイと揺れる開けっ放しのドアからは、先ほど二階で聞こえていた男女の口喧嘩が場所を変えて繰り広げられていた。
「だーるーまーさーんーがーこーろーんーだー」
不意に声が聞こえる。子供のように幼い声。
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