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「桐谷 涼太(きりたに りょうた)。3週間前に東京の有名進学校から編入してきた訳あり。六法全書を持ち歩き、更にはこの学校に来て初めてのテストでいきなり学年1位になった秀才」
「な、何だよ……急に……」
「授業中は1文字も漏らさずノートを取り、難しいところは正確に理解するまで何度でも教科書を読み直す。
顔も良くクラスの女子からは美籐佑の次に人気を得ている。探究心旺盛。若干の異常性あり」
若干の異常性あり? ……何かを見られた?
「分からないことをそのままにしておくのが嫌い。逆に人の知らない知識を覚えることで愉悦に浸るタイプ。今もそう、無関係にも関わらず詮索し、欲している。でも……」
……いや、そんなはずが無い。それに、お前にそんなことを言われる筋合いは無い。
「この学校では、知らない方が良いこともあるの……」
何なんだ……こいつは……!?
じりじりと肌を焦がす真夏の蒸し暑さから一転、極寒の湖に沈められたような戦慄に襲われた。
「し、知らない方が良いことって……何だよ……!」
さっきまで驚いた顔を浮かべていたクラスメイト達も既にこの場を離れ、もぬけの殻となった1年3組の教室。
「何故、この学校に来たの?」
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