火の章 美藤 祐

2/47
前へ
/312ページ
次へ
「あたしね、美藤くんのこと好きよ。 何が好きって、目が好き。 歌舞伎の女形みたいな、その切れ長な目。女のあたしがハンカチを噛むくらい、いじらしい目をしている。 まつ毛が長くて、黒目が大きくて、なのに眉は男らしくて、それらがたまらなく魅力的。 目に夢中になって忘れてしまいがちだけど、鼻も好き。小さくて控えめだけど、鼻の穴の形、整ってるよね。 そしてシルクのカーテンのようにサラサラなその黒髪、ずっと触ってみたかった。 ……ごめん、何だかあたし、変なこと言ってるね。けど本当にそう思うの。 唇も好き。スベスベで、雪みたいに真っ白なお肌、そこで牡丹のように唇が咲いて見えるから。 教室で美藤くんのこと見ていていたとき、その瞳と唇に吸い込まれそうになってた。 ……うん、やっぱり目かな、目が1番好き。凄く好き。 ねえ、舐めてみてもいい?」  
/312ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11473人が本棚に入れています
本棚に追加