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「ダルマ様は奪うだけじゃなく与えることもできたの! だから石川真利江はその強欲さから、いらないパーツを与えられた! 何たって全校生徒分だったんだもの! そしてたまたまこの学校に来ていたあたしからも触覚と味覚を奪った!」
俺の足! 脚がッ!
「ダルマ様の罪は大罪! 奪っておきながらそれすら忘れた、罪を忘れたいけない子! けどね、あたしね、やっと突き止めたの! ダルマ様を!」
霞が語る間も、俺の脚は感覚がなくなるほどうっ血していた。
「こ、この化け物がダルマ様だろ!? 助けろよ、霞!」
霞は真っ直ぐに俺を見た。
「ダルマ様はね、あなたなのジュンくん!」
「……は? あっ?」
静寂のなか、石川真利江の吐息だけが聞こえた。
やがて、霞が静かに語り始めた。
「……1700年江戸時代後期、今からおよそ300年前。このY県の山村で、複数の女性が同時期に流産した。原因は高濃度のみずがねだった」
石川真利江はただ俺の脚を強く掴んでいるだけで、それ以上は何もしてこなかった。
「……み、みずがね?」
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